ガバナンス・取締役関連
Q-11. 第2号議案に関して、候補者の担当部門適正を判断するため、企業価値と株価の関係について、財務の専門性を有する代表取締役候補者の説明を求めます。経産省および法務省の指針(2005年)に基づき、2023年に経産省が公表した資料では、「企業価値の向上はすなわち株主利益の確保である」と結論付けられています。それにもかかわらず、今回の招集通知には「当社の財務及び事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値「又は」株主共同の利益を継続的に確保・向上していくことを可能とする者であることが必要」とあり、両者を別のものと解釈しているように受け取れます。これは、株主共同の利益の向上が必要ないという立場とも読め、株式時価総額が低い現状を正当化する意図があるように感じられます。このような表現からは、上場企業の経営者としてのモラルや、PBR1倍割れの解消に真摯に向き合う覚悟の欠如が感じられます。
A-11. PBR1倍割れの状況について真摯に受け止め、蔑ろにする意図はございません。この度の中期経営計画を成し遂げることでPBR、ROE等の改善が可能と考えております。企業価値と株主共同の利益の関係は、当社にとっても極めて重要な要素であり、企業価値の向上により株主共同の利益の確保・向上につながるものと認識しております。招集通知における「企業価値『又は』株主共同の利益」という表現は、両者を区別したり、いずれか一方を軽視したりする趣旨ではなく、いずれも重視するという包括的な考え方に基づいて記載したものですが、表現が不十分で誤解を招く結果となりましたことを、心よりお詫び申し上げます。この点を真摯に受け止め、次回以降の招集通知においては、より明確かつ誤解のない表現となるよう修正を行う所存です。今後は、資本収益性(ROE)や資本効率の改善に加え、IR活動の強化を通じて、企業価値と株主共同の利益の双方を高め、適切な市場評価を得られるよう努めてまいります。お時間をいただき大変恐縮ですが進捗を見守っていただけましたら有り難く存じます。
Q-12. 第2号議案に関して、代表取締役社長候補者に対し、現在の財務部門の体制に対する認識と今後の強化方針について説明を求めます。取締役構成上、財務の専門性を有する候補者が著しく少ないことに加え、最上位候補者の過去の言動や株価・資本効率の状況から、財務責任者としての専門性や適格性に欠けると考えます。
A-12. 財務部門に関して、取締役候補者8名のうち専門性を有する候補者が2名では少ないとのご指摘につきましては、確かに招集通知のスキルマトリックス上では2名となっておりますが、他にも管理部門を経歴したメンバーが複数おりますことから、財務部門の体制に問題があるとは考えておりません。また、今後の体制強化につきましては、社員教育の推進を通じて人材の育成を図ってまいります。
Q-13. 取締役の構成について、現在の取締役には財務の専門家がいない一方で、監査役には財務畑出身の方がいらっしゃると伺いました。そのような構成では、執行側と監督側が実質的に重なってしまい、企業統治上の問題や、財務戦略・株主還元政策の立案に支障をきたす懸念があります。このような取締役会の構成は適切なのか、社外取締役である根來社外取締役のご見解を伺いたいです。
A-13. ご指摘いただいた財務専門性に関する取締役会の構成については、今期より新たな体制がスタートしており、財務担当には財務分野の経験を有する代表取締役常務が就任しております。この体制のもとで、現時点では適切なガバナンスが保たれていると認識しております。なお、現在、世代交代の途上にあり、今後の企業統治の在り方を見据えながら、必要な体制について検討してまいります。
Q-14. 第2号議案に関して、代表取締役社長候補者に対し、「100年継続」を目標とする目的と、それがリスクマネーを投資している株主にとってどのようなメリットとなるのかを具体的に説明していただきたいです。候補者のうち、「100年継続」を目標とする方は、木本現会長を除いて7名中5名であり、この目標は2009年の木本現会長就任時に掲げられたものです。しかし、同氏の15年間の在任中、現預金を2.4倍に増やし内部留保を蓄積した一方で、売上・利益は半減、設備投資は3分の1に縮小、株価は20%下落し、企業価値を大きく損なう結果となりました。株主利益を犠牲にした縮小均衡型の「100年継続」を目標とすることは、上場企業の経営として合理性に欠け、企業価値向上=株主利益の向上とする経産省の見解とも矛盾しており、正当性はないのでしょうか。
A-14. 100年継続を目標とする理由は、経営の安定を図ることにあります。社員一人ひとりが不安を抱えながら業務にあたるのではなく、やりがいを感じながら将来に対して期待を持てる環境を整えることが重要だと考えております。また、長く事業を継続することにより、お取引先様からの信頼性や安定性が証明されると考えております。さらに、地域社会や環境への配慮がこれまで以上に求められる時代であることを踏まえ、先日の中期経営計画でも申し上げたとおり、地域の方々とのつながりを一層深めながら、社会的責任を果たしてまいります。株主様へのメリットといたしましても、事業を長く安定的に継続することにより、安定した配当の提供が可能になると考えております。
Q-15. 第2号議案に関して、候補者番号4番の木本氏の選任理由に「企業価値の向上に貢献」とありますが、会長就任時の株価(233円)より現在の株価(227円)が下落しているため、この記載は適切でしょうか。また、企業価値の源泉の向上に貢献したとするならば、株価が下落している原因は何でしょうか。業績は改善しており、IR・広報活動も尽力されたとの前提から、財務政策、特に株主還元策に問題があるのではないかと考えます。財務責任候補者は、選任理由に誤りや虚偽がないか回答をいただきたいです。
A-15. 当社の株主構成においては、2024年3月末(9,854名)から2025年3月末(12,451名)の期間にて株主数が増加し、さらに3年以上の長期保有株主増加しております。これは、当社の方向性に対する中長期的なご理解とご期待の現れと受け止めております。また、代表取締役社長就任時から継続的に推し進めてきた改革が評価されております。以上のことから、当社としては、第2号議案 候補者4番 木本の選任理由として「企業価値の向上に貢献」と記載することは、適切であると判断しております。
Q-16. 木本会長の選任について、木本氏が社長を務めていた期間においては、売上高・利益がともに約半分となった一方で、現預金を2.4倍にし、株価についても、社長就任時から日経平均が約4倍になったのに対し、当社株は約20%マイナスとなっていました。この実績を踏まえた上で、選任理由として、「会長就任後も企業価値を向上させた」とあり、その理由に株主数の増加が挙げられています。そこでお伺いしたいのですが、当社としては企業価値=株主数とお考えなのでしょうか。その考え方について、選任理由を記載された方の見解を伺いたいです。
A-16. 企業価値の向上=株主数とだけ捉えているわけではございませんが、私どもを理解し応援してくださる株主様が増えていることは、企業価値を構成する一つの指標とは考えております。株価については、現状の水準に満足しているわけではなく、過去には300円台後半から400円台に達した時期もあったことを踏まえ、まずは300円以上を維持し、さらに400円を目指す必要があると認識しております。そのため中期経営計画を着実に実行し、3年後にはPBR1倍割れの状況を改善できると見込んでおります。
Q-17. 第2号議案に関し、代表取締役社長候補者に対し、先日発表された第6次中期経営計画について、経営目標達成や株主利益確保への意識を確認させてください。前回の第5次中期経営計画は短期間で破綻し、役員全員が減俸処分を受けたが、一律処分は責任の所在を曖昧にし、ハラスメント的であると懸念され、「働き方改革」を掲げる当社の理念と矛盾し、昭和的な企業文化の残存が業績低迷の要因と危惧されました。株主利益向上に真に必要なのは、目標達成能力のある経営者の存在だと考えます。 そこで、第6次中計が未達となった場合に関し、以下の内容について回答をいただきたいです。
(1)経営を他の目標達成能力のある方に譲る覚悟はありますか。
(2)責任部門を明確にし、担当役員の報酬を株式支給に変更するなど、株主利益を考慮した責任の取り方への転換は可能でしょうか。
A-17. 前回の第5次中期経営計画についてはCOVID-19の影響により、当初掲げた目標と実績の間で大きな乖離が生じる結果となりました。その際に実施した役員の減俸対応については、責任の所在が不明確になったとのご指摘や、組織文化に対する懸念があることについて、真摯に受け止めております。ご指摘を一つの重要な示唆と受け止め、必要に応じた検討を行ってまいります。その上でご質問につきまして、以下の通り回答申し上げます。
(1)第6次中期経営計画につきましては、達成することが社長の使命であり、経営責任そのものであると強く認識しております。責任者として職責を全うしてまいります。
(2)のご提案については、単なる減俸ではなく、株主利益の確保や株価への影響を考慮した責任のあり方に関する貴重なご意見として、真摯に受け止めております。
株主の皆様からのご意見を真摯に受け止め、業績責任の明確化を図りながら、中期経営計画の着実な遂行を通じて、株主の皆さまの信頼にお応えできるよう努めてまります 。
Q-18. 主要事業であるデジタルツイン事業の損益状況についてIR担当に問い合わせたところ、「非開示」との回答がありました。また、中期経営計画のアセットアロケーションや自己資本比率の目標も曖昧で、情報開示が不十分に感じられます。コーポレートガバナンスの重要性が高まる中、このような姿勢は信頼性を損なう懸念があります。東証のガバナンス・コード第3章に照らして、現在の開示姿勢は適切とお考えでしょうか。また、社外取締役として、根來取締役はどのようにご認識されていますか。
A-18.(小林正一社長)
ご指摘いただいた点につきましては、真摯に受け止めまして、今後の対応に活かしてまいります。
(根來恒夫取締役)
私は取締役会を監督機関する立場から、IRに関する報告も受けております。今回ご指摘いただいたようなガバナンスに関するご意見についても、
真摯に受け止め、今後の参考とさせていただきたいと考えております。
Q-19. 社長はピカソは天才だと思いますか。
A-19. 大変恐縮ではございますが、ピカソについて造詣が浅くお答えできません。
Q-20. 小野寺社外取締役候補に質問です。当社は上場企業であり、現預金の保有状況や資本政策関して課題がある中でも、特にPBR1倍割れの状態が問題となっていますが、この点についてどのようにお考えでしょうか。また、来年もこのような質問にお答えいただけますか。
A-20. 現在の私の思いといたしましては、会社経営に加え、従業員の存在の大切さ、そしてやはり株主の皆様とともにというところを大切にしたいと考えております。会社は株主の皆様に応援していただくことで成り立っていると考えておりますので、ぜひ、来年もご質問いただければと思います。その際には、私自身が1年間社外取締役として関わる中でどのように判断し、どのように感じたかを率直にお伝えできればと考えております。